夜繙く

主に推理小説などの感想や日常のこと

推理小説

【感想】 麻耶雄嵩『化石少女』(徳間文庫)- 古生物部の部長で化石オタクのまりあが探偵となり、迷推理(?)が光る学園ミステリもの。

麻耶雄嵩『化石少女』(徳間文庫)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 麻耶雄嵩『化石少女』(徳間文庫) 化石オタクのまりあとその従僕と評される彰、古生物部二人の学園ミステリ あらすじ 麻耶雄嵩『化石少女』(徳間文庫) 化石少女 (徳間文庫) 作…

【感想】東野圭吾『放課後』(講談社文庫)- 東野圭吾のデビュー作、女子校で起こる連続殺人事件と青春学園もの。

東野圭吾『放課後』(講談社文庫)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 東野圭吾『放課後』(講談社文庫) 東野圭吾のデビュー作であり、同時に乱歩賞受賞作。 あらすじ 女子校の男性教師が狙われる殺人事件と驚きの真相 東野圭吾『放課後』(講談社文…

【感想】柳広司『パラダイス・ロスト』(角川文庫)- 結城中佐の過去を追う話なども収録されたスパイミステリシリーズの3作目。

柳広司『パラダイス・ロスト』(角川文庫)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 柳広司『パラダイス・ロスト』(角川文庫) 戦時中の最中、権謀術数渦巻く争いで描かれるスパイたちの生き様や矜持。 あらすじ "魔王"結城中佐の過去に迫るが、果たし…

【感想】 岡田秀文『黒龍荘の惨劇』(光文社文庫)- わらべ唄に見立てられた殺人事件、明治の政治的な闇に葬られた惨劇。

岡田秀文『黒龍荘の惨劇』(光文社文庫)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 岡田秀文『黒龍荘の惨劇』(光文社文庫) 発見された要人の首なし死体と「黒龍荘」で巻き起こる惨劇の手記 あらすじ 本格ミステリらしい舞台設定と衝撃の結末 岡田秀文…

【感想】歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』(講談社文庫)- 殺人事件を起こし、ネット上で推理を行う邪道のミステリ

歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』(講談社文庫)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』(講談社文庫) フーダニットを排除してハウダニットを徹底した邪道ミステリ あらすじ 「5人の推理ゲーム」の様相と…

【感想】横関大『闘え!ミス・パーフェクト』(幻冬舎文庫)- 相変わらずの爽快感、莉子が鮮やかに解決していく問題解決型ミステリの2作目

横関大『闘え!ミス・パーフェクト』(幻冬舎文庫)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 横関大『闘え!ミス・パーフェクト』(幻冬舎文庫) 今度はパワハラ問題や村おこしなど、毛色の違う問題を解決!? あらすじ 城島との仲も発展していき、無事に両…

【感想】伽古屋圭市『断片のアリス』(新潮文庫nex)- ログアウトできない痛覚と死も存在するVRゲームで起こる殺人事件が題材のクローズドミステリ

伽古屋圭市『断片のアリス』(新潮文庫nex)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 伽古屋圭市『断片のアリス』(新潮文庫nex) 脱出不能のVRゲームで起きる殺人事件、辿り着く世界の真相とはーー あらすじ 仮想空間のクラスタ内で起こる殺人事件の結末は…

【感想】柳広司『ダブル・ジョーカー』(角川文庫)- スパイ組織"D機関"の対抗組織も登場する大人気スパイミステリシリーズの2作目。

柳広司『ダブル・ジョーカー』(角川文庫)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 柳広司『ダブル・ジョーカー』(角川文庫) スパイ組織"D機関"の対抗組織、その名は"風機関" あらすじ 明らかになる結城中佐の過去とスパイとしての活躍 柳広司『ダ…

【感想】横関大『ミス・パーフェクトが行く!』(幻冬舎文庫)- 元キャリア官僚であり、総理の隠し子が全てを解決していく爽快ミステリ!

横関大『ミス・パーフェクトが行く!』(幻冬舎文庫)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 横関大『ミス・パーフェクトが行く!』(幻冬舎文庫) 「その問題、私が解決いたします」の口癖が頼もしすぎる主人公 あらすじ ありそうな題材だからこそ、共感…

【感想】柳広司『ジョーカー・ゲーム』(角川文庫)- 頭脳戦が光るスタイリッシュな大人気スパイミステリ

柳広司『ジョーカー・ゲーム』(角川文庫)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 柳広司『ジョーカー・ゲーム』(角川文庫) スパイ養成機関"D機関"を中心とした精鋭スパイの活躍が光る連作短編集 あらすじ 各メディアミックスとシリーズ化もされている …

【感想】 伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』(光文社文庫)- ディストピアで巻き起こるヒーロー探しから始まる正義と悪の伊坂ワールド

伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』(光文社文庫)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』(光文社文庫) 「平和警察」と闘うヒーローは一体誰だ? あらすじ 「火星に住むつもりかい?」という問いを考える側…

【感想】道尾秀介『ソロモンの犬』(文春文庫)- 友人の死と飼い犬の事故、道尾秀介が織りなす青春ミステリ

道尾秀介『ソロモンの犬』(文春文庫)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 道尾秀介『ソロモンの犬』(文春文庫) 幼い友人の事故から犬の生態含めて調査に乗り出していく青春ミステリ あらすじ 小気味よい伏線回収と怒涛の真相解明で何度も衝撃が…

【感想】横関大『スマイルメイカー』(講談社文庫)- 家出少年、女性弁護士、犯罪者、それぞれが乗車する黄色いタクシーが運ぶのはーー。

横関大『スマイルメイカー』(講談社文庫)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 横関大『スマイルメイカー』(講談社文庫) 「スマイルタクシー」が運ぶ乗客と交差する人間ドラマ あらすじ 運命的な乗車と一つになる家族の温かみのある物語 横関大『ス…

【感想】木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室』(講談社タイガ)- シリーズ第二作、少しテイストの異なるダークなお話も有り

木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室』(講談社タイガ)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室』(講談社タイガ) シリーズ第二作目、シリーズ初のバッドエンドもあり。 あらすじ 悪人…

【感想】伊坂幸太郎『グラスホッパー』(角川文庫)- 殺し屋達それぞれの思惑が交差し、疾走感のある群像劇

伊坂幸太郎『グラスホッパー』(角川文庫)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 伊坂幸太郎『グラスホッパー』(角川文庫) 会話のテンポ感や全体的な文体に伊坂節の効いた「殺し屋」シリーズの一作目 あらすじ 主人公と特徴的な殺し屋たちの群像劇…

【感想】阿津川辰海『入れ子細工の夜』(光文社文庫)- 「コロナ禍」というエッセンスが散りばめられた短編集。

阿津川辰海『入れ子細工の夜』(光文社文庫)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 阿津川辰海『入れ子細工の夜』(光文社文庫) "騙り"と"語り"で彩られた4つの幻惑な短編ミステリー集 あらすじ バラエティに富んだ題材で奇想が爆発力を感じる 阿…

【感想】竹本健治『凶区の爪』(光文社文庫)- 「牧場智久・武藤類子」シリーズの第1弾。

竹本健治『凶区の爪』(光文社文庫)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 竹本健治『凶区の爪』(光文社文庫) 陰惨な言い伝えと猟奇的連続殺人が起こる地方の旧家 あらすじ ミステリというよりは、ミステリ風サスペンス? 竹本健治『凶区の爪』(…

【感想】野崎まど『舞面真面とお面の女』(メディアワークス文庫)- 奇妙な遺言、お面に纏わる謎の少女と、その先にはーー。

野崎まど『舞面真面とお面の女』(メディアワークス文庫)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 野崎まど『舞面真面とお面の女』(メディアワークス文庫) 一代で消えた幻の大財閥の当主が残した奇妙な遺言と仮面の少女の謎 あらすじ お面の謎、物語…

【感想】杉井光『世界でいちばん透きとおった物語2』(新潮文庫nex)- まさかの続編、正統派なビブリオミステリとしての魅力

杉井光『世界でいちばん透きとおった物語2』(新潮文庫nex)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 杉井光『世界でいちばん透きとおった物語2』(新潮文庫nex) 故人が残した物語から、隠された真意を読み解くビブリオミステリ あらすじ コンビ作家の片割…

【感想】木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚』(講談社タイガ)- 地獄からの生き返りを賭けた推理ゲームが始まる。

木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚』(講談社タイガ)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚』(講談社タイガ) 死者復活、自分を殺した犯人を地獄から推理せよ。 あらすじ 死の前後で変わる人間関係や感情のカタルシス…

【感想】杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫nex)- 紙の媒体でしか味わえない読書体験を複合した見事なミステリ

杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫nex)の感想になります。 ※ネタバレをかなり含みます、未読の方はお戻りください。※ 杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫nex) 父親が残した遺稿を探し、隠された真意を解き明かしていく…

【感想】紺野天龍『魔法使いが多すぎる 名探偵倶楽部の童心』(講談社タイガ)- 魔法を信じる少女に優しい結末を届けることができるのか。

紺野天龍『魔法使いが多すぎる 名探偵倶楽部の童心』(講談社タイガ)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 紺野天龍『魔法使いが多すぎる 名探偵倶楽部の童心』(講談社タイガ) <名探偵倶楽部>シリーズ連続刊行の二作目、殺人事件のトリックは魔法…

【感想】紺野天龍『神薙虚無最後の事件 名探偵倶楽部の初陣』(講談社タイガ)- 多重解決による真相に次ぐ真相が導く、人が死なないミステリ。

紺野天龍『神薙虚無最後の事件 名探偵倶楽部の初陣』(講談社タイガ)の感想になります。 ※ネタバレを少し含みます※ 紺野天龍『神薙虚無最後の事件 名探偵倶楽部の初陣』(講談社タイガ) 文庫化を心待ちにしていた紺野天龍の新たなる"探偵"作品 あらすじ 多…

【感想】加納朋子『コッペリア』(講談社文庫)- 人形に魅入られ恋をする。

加納朋子『コッペリア』(講談社文庫)の感想になります。 加納朋子『コッペリア』(講談社文庫) 創元推理文庫から復刊してました。 人形に憑かれた人々を巡る傑作ミステリ あらすじ 愛憎渦巻く物語、そして切ない謎と少し優しい結末。 加納朋子『コッペリ…

【感想】坂木司『楽園ジューシー』(角川文庫)- 「ホテルジューシー」にまた出会えた。

坂木司『楽園ジューシー』(角川文庫)の感想になります。 坂木司『楽園ジューシー』(角川文庫) 同著『ホテルジューシー』の続編 坂木司の読みやすい文体と南国青春ミステリ あらすじ 沖縄独自の文化 ただし最終章にて突如刺してきてビターな気持ちになる …

【感想】綾辻行人『十角館の殺人』(講談社文庫)- 今尚色褪せない一行の衝撃

綾辻行人『十角館の殺人』(講談社文庫)の感想になります。 綾辻行人『十角館の殺人』(講談社文庫) 令和の今、何故今更『十角館の殺人』? 新本格ミステリの金字塔であり、古き良き「クローズド・サークル」 あらすじ 忘れられない本作の一行の衝撃 綾辻…