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【感想】綾辻行人『十角館の殺人』(講談社文庫)

綾辻行人十角館の殺人』(講談社文庫)の感想になります。

綾辻行人十角館の殺人』(講談社文庫)

令和の今、何故今更『十角館の殺人』?

2024~2025年の年末年始にかけてHuluオリジナル『十角館の殺人』が地上波初放送しており、合わせてTVerでも見逃し配信が順次配信されていました。

Huluに加入していなかったため、TVer の見逃し配信で視聴したところ、とても面白かったので、推理小説を読み始めた当初に読んだこともあって思い入れのある本作を再読したことが感想を書こうと思ったきっかけになります。

余談ですが、どうやら「館シリーズ」の別作品がまた映像化されるということで、そちらにも期待が高まりますね!※2025年2月現在

(『十角館の殺人』が映像化できたのであれば、他作品も期待してしまいますね!)

新本格ミステリの金字塔であり、古き良き「クローズド・サークル」

本作は綾辻行人のデビュー作であり、言わずと知れた名作です!

題材も孤島、館、広義の密室とミステリーの今となっては古典的な王道要素が詰まっており、「新本格」と銘打つにふさわしい作品だと思います。

(「新本格」が発祥してからもう35年以上も経つのですね...)

あらすじ

半年前に謎の死を遂げた建築家・中村青司が建築した奇妙な十角形をした館「十角館」のある孤島・角島。

そこにK大学ミステリ研究会の男女7人が合宿に訪れる。

しかし、彼らは一人、また一人と何者かに殺害されていく。

一方、本土ではK大学ミステリ研究会の元メンバーである江南の元には中村青司の娘・中村千織の事故死に関する怪しい手紙が届き、その謎を調査している中で島田潔という男と出会い角島で起きた事件について独自に調査を進めていく。

孤島で繰り広げられる連続殺人事件と、本土での怪しい手紙に関する調査。

二つの視点から物語は進行し、やがて驚愕の真実が明らかとなる。

忘れられない本作の一行の衝撃

本作を一番といっても過言がないほどに象徴するのは見出しに記載ある、忘れられない「あの一行の衝撃」だと思うのですが、そこに至るまで孤島・角島での殺人が続き誰もが疑心暗鬼になる中「十角館」を建築した天才建築家・中村青司が角島に建てた「青屋敷」と呼ばれる青一色の奇妙な屋敷が全焼し、焼け跡から中村青司らの遺体が見つかる。

犯人の行方が分からず未解決となった事件との繋がりを見出す展開はスラッシャー映画のような緊張感があり、関連して同じ島にある中村青司が立てた「十角館」というこれまた奇妙な館を舞台にして起こる殺人事件は亡霊さながらの恐怖を感じさせる様子はホラー的な恐ろしさを感じる部分としても良かったです。

また、ピークを迎えるまで本土側でも着実に手紙の謎に迫っていく様子も並行しておりオーソドックスな探偵モノとは少し似て非なる進行が、新しいリアルタイム感があって読む手が止まらなかったことを当時も覚えているし、再読してもノンストップでした。

 

そして「あの一行の衝撃」を迎えて読む解答編。

立て続けに全てが分かっていくあの爽快感とエピローグの虚無感やもの悲しさ、とても綺麗な終わり方で読後感も素晴らしく、余韻を感じさせてくれました。

まさに「一行で世界はひっくり返る」というキャッチコピーを体現したネタバレなしで語るにはあまりにも難しく、フラットな気持ちで読んでほしい思い出深い一冊です。

他の館シリーズも面白いので、是非気になった方は『十角館の殺人』を皮切りに読んでみてください!