黒崎蒼『せつなの嫁入り』(富士見L文庫)シリーズの紹介です。
黒崎蒼『せつなの嫁入り』(富士見L文庫)
あやかしを討伐する男とあやかしが混じる女の夫婦になるまでとそれからの話
あらすじ(1巻)
京の都に住むあやかし警邏隊・藤十郎のもとへ嫁ぎ、
徐々に二人は好き合うようになる。
だがせつなには決して結ばれることのない、生まれもった運命があった。
積んでいてたためシリーズ全巻を一気に読みました。
全3巻構成で意外と裏表のないお話かつシンプルな構成で読みやすく
手軽に読む分にはかなりオススメなシリーズだと思いました。
また終わり方も尻切れという訳ではなく、終わらせ方を決めていたような
形で綺麗に終わっており、読後感もハッピーエンドを感じられてとても良かったです。
各キャラクター像は、ヒロインの「せつな」は想像よりも長いこと不幸な状況の描写が
続いており、巻末などの物語の節目でハッピーエンドを迎えるものの度々同じような
不幸な状況に陥るため、物語的に少女の生い立ちや状況の不幸を一つずつ解決して
幸せになっていく描写となっており、せつなの物語として過程を上手く描けていた
と思います。
後は性格として不幸な状況を多く経験しつつも腐らず真っすぐな部分が多く残っている
のもヒロイン向きな性格で好印象でしたね。見た目も可愛らしく良いです。
ただヒーロー側の藤十郎はせつなに対して後手に回っている部分も結構多く、
せつなのアクション上仕様がないことなのですが、その点少し残念でしたね...
和風な雰囲気にあやかし達が跋扈する世界など、舞台設定はかなりオーソドックスな
ものの過去の回想や物語全体を通して、良い意味でご都合的に進んでいくのは
難しいことを考えずに読めたので、個人的には文体も良くて読みやすかったです。
最後に
新作が発売されたら読みたいなと思える作者の文体だったので、
他作品も出ていないか調べてみるとタイムリーなことに2025年3月に新刊が
刊行されていたようでした。
こちらも近いうちに読んでみたいと思います!