木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室』(講談社タイガ)の感想になります。
※ネタバレを少し含みます※
木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室』(講談社タイガ)
シリーズ第二作目、シリーズ初のバッドエンドもあり。
あらすじ
霊界の裁判官・閻魔沙羅VS.現世に未練を抱く死者たち
賭け金は己の『命』。明日から少し前向きになれる推理ゲーム!「閻魔堂へようこそ」。閻魔大王の娘・沙羅を名乗る美少女は浦田に語りかける。
元甲子園投手の彼は、別荘内で何者かにボトルシップで撲殺され、
現場は密室化、犯人はいまだ不明だという。
容疑者はかつて甲子園で共に戦ったが、今はうだつのあがらない負け犬たち。
誰が俺を殺した? 犯人を指摘できなければ地獄行き!?
浦田は現世への蘇りを賭けた霊界の推理ゲームへ挑む!
『閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室』(木元 哉多)|講談社
から引用
シリーズ2作目で本作の特徴である「死後に生き返りを賭けた自分の死を推理する」
という構成は変わらず、かと言ってすべてが1作目と同じではなく少しアレンジを
加えて本来の面白さを損なうことなく、上手くシリーズ2作目として描かれていたのも良かったですね。
1話目の43歳刑事のお話もTHE昭和刑事のような叩き上げ具合から、刑事としては良いが
人間性としてのマイナスが大きく、地獄行き判定をされるも、一連の出来事を通して
また一つ成長できたのは終わり方として好印象でした。
3話目の社長に関しては、意識が高い人間をしっかりと描写できているせいか
人間像が描写される度に現実を思い出し心苦しくはあるものの、だからこそ辿って
しまった結末はビターなものの、なるべくようにしてなった形の納得を感じることは
できました。
悪人には因果応報の展開が...閻魔大王も初めて登場
2話目では、悪人にも平等にチャンスが訪れるが、やはり因果応報にそれなりの対応が
降りかかってくるという新しい展開を見せておりましたね。
更には閻魔大王も実際に登場するのは初で、沙羅とは違って容赦のない側面は
理不尽キャラでイメージする閻魔像と一致しているのも違和感はなかったです。
ミステリとしては幾つかトリック的に難しいところはあるものの、本作の仕掛けには
上手くハマっている部分が多く、面白さがありましたし
全体的には他者に対して心遣いができない人間たちを更に細分化した人間が
本作に落とし込まれるとどうなるかの人間模様を見ることができたので、
全体的に満足です。シリーズ次作も読んでいきたいですね。
サブタイトルも上記を表していると思えば上手くハマっていたなと思います!
一作目の感想はこちらからどうぞ!