あざの耕平『東京レイヴンズ17 REsiSTANCE』(ファンタジア文庫)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
あざの耕平『東京レイヴンズ17 REsiSTANCE』(ファンタジア文庫)
過去編が終わり、物語は現代へ。異界と化した東京と多軌子たちとの決戦。
あらすじ
かつてない霊災のなか、当代最強の「炎魔」が立ちはだかる!
時を遡り、飛車丸と魂の融合を果たした夏目。
春虎の願いが叶った一方で東京は激しい霊災に見舞われていた。
これをおさめるべく「神扇」天海のもとに春虎や陣などかつての仲間が集い、
多軌子たちとの決戦に挑む!
「東京レイヴンズ17 REsiSTANCE」あざの耕平 [ファンタジア文庫] - KADOKAWA
から引用
まずは7年ぶりの続きを出してくださりありがとうございます、とお礼を言いたいです。
本巻を読むにあたって、前巻が過去編の終わりだったことと現代編の終わり方も
何となく覚えているくらいだったので少しおさらいをしたのですが、
本巻を読んでいるうちにすぐに思い出せるくらい、登場人物達もオールスターばりに
出揃ってきて、次で完結巻となるくらいに勢揃いでしたね。
内容自体もとても面白く、最早超常の中の超常しかいないような最終決戦ぶりに
最後まで手に汗握って読むことができました。
個人的に2つほどトップレベルに良かったなと思うシーンがあって、
まずその一つが、終盤での春虎に対して冬児が活を入れるシーンが、夜光として
転生して肉体に魂が引っ張られているとは言え、夏目を生き返らせるという目的を
達した今、どこか俯瞰的になっていた春虎に対して、自身が春虎であるということを
改めて再認識させてくれた、そしてそのポジションが親友である冬児の言葉と
あの登場であるという点が何より素晴らしかったんだよなぁ。
春虎=夜光、夏目=飛車丸、とくれば角行鬼のポジションは薄々冬児になることは
勘づいていたものの、そこに持っていくまでの流れや演出が物語の一つの
ターニングポイントとなるような気にさせてくれる良いシーンでした。
『炎魔』との死闘とその最期。
更には倉橋が死亡して力の振るう先を失った宮地が、炎魔の異名を冠したその力を
後進達の力を確かめるために振るう部分が、自分で虚無と形容していようと
その中で残った人間性みたいなものを発揮していた部分にも物悲しさを覚えるし、
更に弟子の関係だった弓削の自分がやらなければいけないと覚悟を超越した行動にも
痺れましたね。
鏡に闘いの最中で一言「少なくとも独立官としての外面は認めていた」と
言わしめるほどにしっかりと独立官だったことを本人はいざ知らず、周りからの
評価としてあったのも今更となってはと感じる部分はあるものの、良すぎた...
主要の十二神将達、それぞれの覚悟みたいなものをしっかりと描写できていたので
そこにしっかりと闘いを描けていたのが更に拍車をかけておりました。
次巻で完結するとのことで、更に終盤はどうなっていくのかが非常に楽しみですね。
次は1年以内に出してくれると嬉しいです、気になった方はどうやらシリーズ全巻に
重版がかかるようで、また手に入れる機会も多そうなので読んでみてください〜。
ざっくりとシリーズについてのご紹介も記載しているので気が向けば是非。