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【感想】東野圭吾『放課後』(講談社文庫)- 東野圭吾のデビュー作、女子校で起こる連続殺人事件と青春学園もの。

東野圭吾『放課後』(講談社文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

東野圭吾『放課後』(講談社文庫)

東野圭吾のデビュー作であり、同時に乱歩賞受賞作。

あらすじ

校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。

先生を2人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、

先生をナンパするアーチェリー部の主将――犯人候補は続々登場する。

そして、運動会の仮装行列で第2の殺人が……。

乱歩賞受賞の青春推理。

『放課後』(東野 圭吾)|講談社 から引用

面白かったです!

トリックも今となっては古典的ですが、そこに至るまでの細かい伏線だったり

仕掛けが施されており、最終的な動機までは絶対に終盤まで読まなければ

分からないものの女子校で起こる殺人事件のミステリらしさ溢れる一作となっており

かなり読み応えもあって面白かったです!

 

東野圭吾さんのシリーズものではない長編ミステリで、デビュー作かつ乱歩賞受賞の

ミステリと聞いていたので、かなりハードル自体は自分の中で上がっていたのですが、

先が気になってしまい、どんどんと読み進めてしまいました。

 

舞台設定も発売年が発売年なので、今となっては時代錯誤溢れるものですが、

構成自体は女子校で男性教師の前島の視点で殺人事件が起きていき、

密室での殺人事件や前島を狙った殺人事件など、昭和後期だからこそのローテクでは

あるものの、しっかりと本格ミステリ然とした作品になっていた部分も高評価です。

女子校の男性教師が狙われる殺人事件と驚きの真相

次々と男性教師が狙われた殺人事件が起きる中で、最初は密室殺人、次は衆人環視の

中での毒物での殺人と、数々の殺人が起きる中で物語の中盤に密室殺人のトリックは

納得感のある説明がされて解決したものと思われたものの、

そこで提示されたトリックは囮で本命の物がある点と

実際の事件を起こした動機が最後まで読まないと絶対に分からない部分が

(読者への挑戦などもないので、フェアでないといけない訳ではないので良いと思う)

最後までどうなるのかハラハラと期待感を煽る構成になっていたことが

良かったですね。

 

本当の狙いを隠すために様々な伏線を仕込み、更に物語の結末も終盤間際まで

スリードを誘うような構成となって、気を緩めていたところに見事に騙されて

しまいましたね。

トリックや動機の面では、今となってはローテクや納得の少ないものかもしれませんが

女子校の学園ものとしてのミステリ構成や終盤の結末への持っていき方と細かい

伏線回収などが個人的には良かったと思うので、オススメできる一作だと思います!

気になった方は是非読んでみてください〜。