夜繙く

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【感想】道尾秀介『いけない』(文春文庫)- 最後のページにある「写真」を見ることで全てが一変する短編ミステリ集。

道尾秀介『いけない』(文春文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

道尾秀介『いけない』(文春文庫)

写真の意味と導き出される真相、気持ちよく騙される一捻りされたミステリ

あらすじ

各章の最後のページに挟まれた「写真」には、物語がががらりと変貌するトリックが

仕掛けられていて……。2度読み確実! 

あまりの面白さが大反響をもたらした、道尾秀介渾身の超絶ミステリ。

第一章 「弓投げの崖を見てはいけない」→自殺の名所が招く痛ましい復讐の連鎖。

第二章 「その話を聞かせてはいけない」→少年が見たのは殺人現場? それとも……。

第三章 「絵の謎に気づいてはいけない」→新興宗教の若き女性幹部。本当に自殺か?

終 章 「街の平和を信じてはいけない」→そして、すべての真実が明らかに……。

騙されては、いけない。けれど絶対、あなたも騙される。

〝写真〟が暴くもうひとつの真相。あなたは...『いけない』道尾秀介 | 文春文庫

から引用

全四編で構成された、それぞれの短編に差し込まれた「写真」で物語の見方もまた

大きく変わる作品。道尾秀介らしい少し暗めの世界観と、凝らされた技巧が

とても良かったし読み進めるたびに展開の妙を感じたりと上手さが前面に出ていた

本作でした!

「弓投げの崖を見てはいけない」

自殺の名所を巡って刑事が事件を調べていくお話。刑事の過去などもあり、かなり

道尾秀介らしい暗めな部分も描写されていくが、そこから名所で事故が発生し、

復讐などの人間模様が描かれており、その過程で文章として伝えたオチと

写真を見ると実は...みたいな部分は、まずやりそうだなと思いましたし、

上手かったですね。

「その話を聞かせてはいけない」「絵の謎に気づいてはいけない」

同様に上手く写真からオチが一変する形式だし、殺人が行われたが例え誰が殺人を

犯しても不思議じゃないことを暗喩するような終わり方をしており、道尾秀介

他作品でも見られる闇の部分が描かれておりましたね。地続きに過去のお話とも

繋がっており、それぞれが独立した不気味さを放っていた部分も良かったと思います。

全ては最終話のタイトルに繋がっている...

「街の平和を信じてはいけない」

短いながらも本作の総括でありタイトル通りですね。

改めてこの章で描かれることで、結構ブラックさが増したというか本作としての味も

一際目立った形となり終盤に語られる意味のようなものも感じました。

 

道尾秀介のテクニックみたいなものも上手く使われていた新しい試みの一作だったと

思います!二作目も出ているみたいなので近いうちに読んでみたいですね!

気になった方は是非読んでみてください〜。