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【感想】郷内心瞳『真景拝み屋怪談 蠱毒の手弱女〈天〉』(角川ホラー文庫)

郷内心瞳『真景拝み屋怪談 蠱毒の手弱女〈天〉』(角川ホラー文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

郷内心瞳『真景拝み屋怪談 蠱毒の手弱女〈天〉』(角川ホラー文庫

幼少期に体験した山村でのUFOと村で信仰されている異形のお話

あらすじ

拝み屋郷内、最後の怪談始末がはじまる。「拝み屋怪談」完結編・第一部。

さようなら。ありがとう。また会う日まで――

拝み屋・郷内心瞳が、相談客の裕木真希乃から受け取った取材レポート。

いわゆる「怪談実話」を取材した膨大な記録「念珠怪談」に、度々現れ続けた不気味な女・霜石湖姫は、自らの家に裕木を留め置いているという。

歪められ、踏みにじられ、しかして圧倒的な力で稀代の魔人と成り果てた霜石湖姫。

すべての凶事の原因は自分にある……郷内は裕木を救い出すため、死の恐怖に打ち震えながらも霜石家に向かう。

道中、郷内はかつて自らが調査に関わった、消失した村落「浄土村」でのおぞましい体験を思い起こしていた。

終わらぬ「花嫁」の祟り、浄土村に蔓延る異形と陰謀、霜石家に集められる呪物の数々。

後には退けぬ地獄への道へ絡め取られた郷内は――

「めでたしめでたし」にはほど遠い、「拝み屋怪談」完全完結編、第一部。

拝み屋郷内、最後の怪談始末。

「真景拝み屋怪談 蠱毒の手弱女〈天〉」郷内心瞳 [角川ホラー文庫] - KADOKAWA 

から引用

今までの因縁や関係してきた人物が様々登場してきて、これからの第二部で更に物語の加速を感じさせてくれるような一作だったと思います!

お話の構成自体は大きく分けると以下の二つで

・杏が幼少期に体験した「浄土村」での体験と信仰

・前巻の終わりから続く霜石家との因縁

私は今のところ著者の拝み屋怪談シリーズの過去作を全て読んでいますが、本作を読むにあたって過去の因縁に関わる登場人物が多すぎて、「あれ...これって何を指しているんだっけ...」とネタバレに関わるが故に暈されており、完全におさらいしていないと分からないような書き方をしている部分が多くてその点本作だけを読むとなると、十全に魅力を感じるのが難しい点は少しマイナスに感じてしまいました。

本作の文量が多く難しいことは感じているのですが、注釈的にもう少し関連が分かりやすくなっていたら、もっと楽しめたなぁ...と。

まぁ、これも本作の中で語られた認知や記憶を封じ込める能力が読者である私たちにも働いているということにしておきましょう。

 

「浄土村」関連のお話自体は、追憶のような形で記載されており、UFOや宇宙人などの特異さから、SFテイストで異質なホラーとして楽しめた部分もあり、更に現在に至るまでの因縁と関わる部分が多く、一つの物語の帰結していった部分は読んでいて楽しかったです。シリーズで多く描かれている郷内さんの描く実話怪談テイストな文章とも合っていて、面白かったと思いました!

霜石家の謎と双子の緋花里と湖姫、続いていく「花嫁」の祟り、蛭巫女の存在

時系列が前後していきながら、霜石家や白星の過去などを多く語り、更には郷内さんに示唆されたウロボロスなど円環を思わせる占い師の一言など、実話怪談というシリーズからは少し離れてフィクション然としたホラー小説としての一つの物語を読む気持ちになって途中タルパと祟りの合体など、最早どうしてそうなったのかと超常すぎて分からないが面白そうなのでOKな精神になりました。

 

本作でも舞台を整えるが如く大振りな設定や、脇差や名刀で怪異を祓う大立ち回りなどもうやりすぎなくらいの前振りが多く、これからの第二部が本番として大いに期待できそうな終わり方になっており、更に次巻が楽しみになる本作でしたね。

終わりに向かっていると思うと少し寂しくはありますが、郷内さんの怪談始末がどのような結末を迎えるのか楽しみです。