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【感想】島田 荘司『嘘でもいいから誘拐事件』(集英社文庫)- やらせディレクターのロケが生み出す謎と気がついたら解けているユーモアミステリ

島田 荘司『嘘でもいいから誘拐事件』(集英社文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

島田 荘司『嘘でもいいから誘拐事件』(集英社文庫

仕掛けもトリックもない、只々話が進行して勝手にオチがついていくユーモアミステリ

あらすじ

TPSテレビ、夜のお楽しみ番組「八時スペシャル」。

やらせの権化と誰もが恐れる軽石三太郎ディレクターと取材班

(ターボとタックのウルトラお調子コンビ)が「こんばんワン」と

鳴く犬を求めて東北の秘境、鬼首村に繰り込んだ。

大雨の中、突如レポーターの美穂ちゃんが誘拐されたことから

奇怪な出来事が次つぎに起こり始め、おもわぬ番組ができあがる表題作、他。

泣く子も笑うユーモアミステリー。

嘘でもいいから誘拐事件 / 島田 荘司【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア から引用

一応「嘘でもいいから〜」とシリーズ化されている本作、軽い息抜きのような文量の

作品だけあり、更に追い討ちをかけるように中身のあまりない話が永遠と展開されて、

気がついたら謎らしい謎がポッと出てきては気がついたら大したオチもないまま

勝手に解決されている構成も含めて、読み終わってみると結構面白くなかったですね。

 

結構島田荘司らしからぬ作品でもあり、軽石ディレクターが企画するやらせばかりの

ロケの中でタックたち軽石組のメンバーが軽い事件に巻き込まれて気がついたら

物語が終わっている構成は同じなのですが、特に何の感慨もなく終わるものなので

反応もしづらく...面白さもあまり感じられないのが残念ですね。

(事故や誘拐事件など軽くはないのですが、何故か本作の語り口や軽快なノリのタッチ

から軽く見えてしまうので不思議...)

 

面白さとかを期待しながら読む作品ではないと言われればそれまでなのですが、

じゃあ何のために読むんだとなってしまうので、評価的には厳しくなってしまいがち。

まぁ、私は島田荘司作品をなるべくコンプに近づけようと読んだので、これも一つの

良い経験になったのかなと考えることにします。

私が生まれるよりも前の時系列で進む本作ですので、中々テレビのやらせが横行して

いる様などがピンと来てない中で読んだこともあり、イマイチ乗り切れなかったです。

 

物語の話をするのならば、「嘘でもいいから誘拐事件」の方はゴンドラから物理的に

乗り移るオチなんかはホンマかいな(高度がかなりある)と思い、最早その謎から

面白さが発展することもなかったので無表情で読んでましたね。

 

一作目と比べて、中々中身のない作品だったので島田荘司のことが好きでコンプを

目指している以外の方には中々お勧めしづらいですが、気になった方はページ数も

少ないので読んでみてください〜。