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【感想】澤村伊智『怪談小説という名の小説怪談』(新潮文庫)- "小説"という媒体だからこそ輝く仕掛けの多い恐怖と驚愕に満ちたホラー短編集

澤村 伊智『怪談小説という名の小説怪談』(新潮文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

澤村 伊智『怪談小説という名の小説怪談』(新潮文庫

読者を怖がらせる技巧が盛り込まれた実話怪談の対義である「小説怪談」

あらすじ

“小説”ならではの企みに満ちた“怪談”全7編。

深夜、疾走する車内を戦慄させた「高速怪談」、

呪われた大ヒットホラー映画「苦々陀の仮面」、

禁忌を犯してしまった夫婦と「こうとげい」、

正体不明の殺戮犯「うらみせんせい」、作者不明の恐怖譚「涸れ井戸の声」他。

謎めいた語りが恐怖と驚愕を生み、

奇妙で不穏な空気と意外な結末に嫌な汗が滲みだす。

著者真髄の大どんでん返し恐怖短編集!

『怪談小説という名の小説怪談』 澤村伊智 | 新潮社 から引用

結構面白かったですね、どれも実話怪談のようで小説であるという虚構性を活かした

迫真の恐怖が伝わってくるどれも粒揃いのホラー短編集でした。

 

どの短編も独立して短編内で完結し、しっかりと簡潔にまとまっているところも

良かったし切り口がそれぞれ異なるところも読みやすかったですね。

「高速怪談」

気がつくと面識のない男が一緒にいるという恐怖と、そこからの

無意識のうちに漫画家が描いた女の死体顔が実際の事故現場で見かけた死体の顔と

一緒という二段構えのオチが構成として良かったですね。

特に堀さんのお話の部分からが最高潮でした。

「笛を吹く家」「うらみせんせい」

途中からオチが読めたのと、文中で明かしていないオチの設定までが少し読んでいる

うちに透けてしまったので、ホラーの読み物として面白かったですが、

驚愕や恐怖は若干薄らいでしまいましたね。

「苦々陀の仮面」

ホラーの展開としてはよくある話といえば、よくある話で段々と恐怖を煽る語り口に

なっていた部分は高評価です。それ以外は序〜中盤である程度のオチは読めてしまった

ことが残念。

「こうとげい」

個人的には結構好きでした、特に2chの洒落怖みたいな地方の因習と

その因習をおかしいと思い、事象に遭遇した人たちを逃すところもフィクション然と

したホラーで良かったし、最後のオチも綺麗に収まっていたのでかなり好きでした。

「涸れ井戸の声」

ネットにも口伝にも詳細が語られない「涸れ井戸の声」知ったが最後恐怖のあまり

どうなってしまうことか...みたいな展開がしっかりと表現されていて良かったですね。

忘れようと努めるけど、知ったが最後どこにでも付き纏ってしまう系のホラーが

あってとても良かったです。

「怪談怪談」

読んでいてやられましたね。文章の追憶形式に仕掛けられた

様々なホラー要素でしっかりと驚愕に落とし込んできたので、面白かったです。

時系列や記録が一人の本物の霊媒師から紡がれていたものという切り口と

それに付き添いを行ったものという歪な登場人物の口から語られる物語だからこそ

読んでいるうちに込み上げる終盤の恐怖がありました。

 

どれも短編として面白く、ホラー初心者の方にこそオススメしたい読みやすと

まとまりでした。個人的にはそこから澤村さんの他シリーズにも手を出してくれると

尚嬉しいですね。気になった方は是非読んでみてください〜。