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【感想】藤まる『時給三〇〇円の死神』(双葉文庫)

藤まる『時給三〇〇円の死神』(双葉文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

藤まる『時給三〇〇円の死神』(双葉文庫

同級生から誘われる「死神」のアルバイト、死者が抱える未練や願いとは。

あらすじ

「それじゃあキミを死神として採用するね」

ある日、高校生の佐倉真司は同級生の花森雪希から「死神」のアルバイトに誘われる。曰く「死神」の仕事とは、成仏できずにこの世に残る「死者」の未練をはらし、あの世へと見送ることらしい。あまりに現実離れした話に、不審を抱く佐倉。

しかし、「最後まで勤め上げれば、どんな願いも叶えてもらえる」という話を聞き、半信半疑のまま死神のアルバイトを始めることとなり――。初恋相手の幼馴染、出産直後の母親、虐待を受ける子ども……様々な死者が抱える、切なすぎる未練、願いとは――。暖かな涙が止まらない、ヒューマンストーリー。

時給三〇〇円の死神 / 藤まる【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア から引用

意外と王道的なストーリーテリングで感動的な物語だったと思います!

「死者」をあの世へ見送るという仕事自体は決して死者の未練が完全に解消されて大団円と大団円といく訳でもなく、やりきれない未練の方が大きく、主人公自身も過去に心身ともに大きな傷を負っているが、「死者」との未練や絶望に触れていく中で少しずつ成長していき、ラストの主人公が本心から紡ぎ出した言葉が、また感動的で再起の物語としてもとても良かったと思います!

 

前半はかなり主人公や死者に同情してしまうような、親父狩りの真相や初恋の人の未練など死後だからこそのやり切れなさがあり、そこから更に絶望を叩き込むように四宮の本当の思いなどが全て心を抉っていくように描写されており、主人公と同じで救いを求める気持ちになりました。

最終的に花森の過去と主人公自身の行末が切なく、記憶が消えてしまう最中で、死者を想う気持ちと他者に寄り添う気持ちを描いて成長を感じられる終わり方となっていたのもオチとしては多少の弱さはあるものの、結構綺麗に終わってよかったかなと思います。

 

王道的な感動の物語で設定面では少し惜しい部分があるものの、読みやすい文体でティーン向けにもオススメしやすい小説かなと思いました!気になった方は是非読んでみてください〜。