歌野晶午『春から夏、やがて冬』(文春文庫)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
歌野晶午『春から夏、やがて冬』(文春文庫)
互いが互いを思い合う偶然の出会いから物語が一気に動き始まる人間模様を描いたミステリ
あらすじ
スーパーの保安責任者・平田は万引き犯の末永ますみを捕まえた。
いつもは容赦なく警察に突き出すのだが、ますみの免許証を見て気が変わった。
昭和60年生まれ。それは平田にとって特別な意味があった―。
偶然の出会いは神の導きか、悪魔の罠か?
動き始めた運命の歯車が2人を究極の結末へと導く!
春から夏、やがて冬 / 歌野 晶午【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア から引用
終盤で一気に物語が動き出す系のミステリ、後味の悪さを感じる結末とかなり丁寧に結末に至るまでの主人公である平田の心理描写を描いていた印象。そこから明かされる衝撃の終盤に関しては、真意が分からない部分がありつつもミステリという分類なのかとも少し感じた。
ストーリーの進み方自体はこの舞台設定であればかなり順当に進んでいたと思われるのだが、ますみのキャラクター的に終盤でいきなり一芝居打つという展開が個人的には受け入れられなかった。平田の自責を少しでも軽くするためにという説もあり、自分の死なども織り込み済みの可能性は考えられたが、それを恩返しにするという点でいくと、そこまでの計画力を感じるまでのキャラクターになっていたかが個人的には納得がなかったなぁ...
本作で描かれている以上、その力があったということではあるのですが、そこで一歩躓いてしまった自分には面白さとして昇華しきれなかった...すみません...正直終盤の展開が全てだと思うので、それ以上でもそれ以下でもない。そんな作品だったかなと思います。
個人的には歌野さんの作品であれば、もっとミステリ色強めの物や衝撃的なパンチのある作品があるので、そちらをオススメしたいですね。ある種パンチの効く終わり方ではありますが、どこかミステリらしくないような作品でした。
気になった方は本作も是非読んでみてください〜。
