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【感想】大島清昭『最恐の幽霊屋敷』(角川ホラー文庫)

大島清昭『最恐の幽霊屋敷』(角川ホラー文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

大島清昭『最恐の幽霊屋敷』(角川ホラー文庫

幽霊屋敷の怪異の歴史を辿り、次々と起こる不審死を解き明かすミステリ要素もあるホラー

あらすじ

「最恐の幽霊屋敷」という触れ込みで貸し出されている物件がある――。

幽霊を信じない探偵・獏田夢久(ばくたゆめひさ)は、屋敷で相次ぐ不審死の調査を頼まれる。さまざまな理由でその家に滞在した者たちは、一様に背筋の凍る怪異に見舞われた上、恐ろしい死に直面する。屋敷における怪異の歴史を綴ったルポ。

その中に謎を解く手がかりがあるのだろうか。調査に乗り出す獏田を待ち受ける、意外な真相とは――? 「最恐の幽霊屋敷」はなぜ生まれたのか、そして、何が屋敷を「最恐」にしたのか。恐ろしい真実がいま明かされる。

「最恐の幽霊屋敷」大島清昭 [角川ホラー文庫] - KADOKAWA から引用

いやぁ、面白かったですね。拝み屋で霊を祓う仕事をやっていたキィという女性が住まう家が、払った悪霊を封じ込める商売道具の壺でキィが撲殺されて、中に封じ込められた悪霊が8人も解放されて、幽霊屋敷となる舞台設定と、幽霊屋敷に足を踏み入れた様々な人が相次いで自殺や他殺で死が積み重なっていくホラーとしての怖さ、そしてミステリのように他殺とされていた部分に人為的な理由が実は絡んでいたなど、全部が全部ミステリではないにせよ、ミステリとしての面白さもありましたね。

 

オカルトライター鍋島猫助が描くルポ形式で描く幽霊屋敷となった根源の悪霊を語る作中作も挟まれて実話怪談のような恐怖を伴っているので、所謂モキュメンタリー的な昨今のホラー要素も取り込んでいたのも別の切り口によるホラーでの恐怖を感じてより一層幽霊屋敷の恐怖を煽っていたと思います。

幽霊屋敷を訪れる人の霊的体験と鍋島猫助の作中作で解説される悪霊の調査録が交互で語られていくことで、怪異の根源みたいな部分が謎とともに恐怖を突きつけてくる構成が良かったですね。

 

ラストでは今まで語られてきた他殺と判断できる死を論理で解き明かしますが、暴かれただけで決してハッピーエンドとならない感じがホラー小説としては個人的に良かったですね。ホラーという土台でミステリ要素を入れているので許されると思いますが、ミステリというジャンルであの終わり方だったら微妙でしたが...

最恐の悪霊たちが蠱毒で一つになったものや霊能者と混濁してしまった棘木、巻き起こる怪異の事象の数々など作中の恐怖がオンパレードで、明かされた恐怖も一緒くたに襲ってくる終わり方は本作らしいといえばらしいのかなと思います。

 

作者の呻木叫子シリーズ以外のノンシリーズは初めて読んだのですが、良い意味で作者の持つホラーとしての文体とよくある怪異でも組み合わせで更なる恐怖を演出する描写、そして上手くミステリ要素を織り交ぜることで物語を最後まで飽きさせない構成はとても良かったです!作者のホラーを読んだことのない人にもホラー好きであればオススメしやすいと思います!気になった方は是非本作も読んでみてください〜。