伊坂幸太郎『AX アックス』(角川文庫)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
伊坂幸太郎『AX アックス』(角川文庫)
凄腕の殺し屋が恐れるのは、銃口ではなく妻のひと言。
あらすじ
最強の殺し屋は――恐妻家。物騒な奴がまた現れた!物語の新たな可能性を切り開く、エンタテインメント小説の最高峰!
「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。
今までの殺し屋シリーズの系譜がありながら、より日常の中に非日常が存在している雰囲気と殺し屋同士の戦いなどのアクションが描かれており、とても面白かったです。
前半は兜の視点から日常的な物語が多く、その中で家族を大事にする姿も描かれておりその反動で殺し屋家業に嫌気がさす姿も背反している部分が魅力的でしたね。日常が多く描かれていたからこそ、映える殺し屋家業の描写が非現実感を伴っておりフィクション然としていて面白かったかなと思います。
最後の最後で見事にタイトルを回収する「蟷螂の斧」も描かれており、息子の克己視点での親子の物語として、妻との出会いを描く夫婦として、それぞれが兜を通じた家族を思いやる気持ちが描かれており、殺し屋シリーズの中でも主人公自身が暖かな気持ちで満たされたまま終わる作品となっていましたね。
過去の殺し屋シリーズの登場人物も出てきたりとファンからすると嬉しい展開もあったりと楽しむことができました!大きく伏線に次ぐ伏線というわけではないのですが、しっかりと兜の日常部分を描き殺し屋という非日常を際立たせて、そこから家族のお話に繋げてタイトルを上手く繋げる構成はお見事だと思います!
殺し屋シリーズの3作目となり、より洗練された長編となっており殺し屋シリーズとしてではなく伊坂さんの長編作品としてもオススメしやすいくらいには読みやすく面白い作品だっと思います!気になった方は本作も是非読んでみてください〜。
また殺し屋シリーズの他作品の感想も書いておりますので、もし良かったら合わせて読んでみていただけると幸いです。
