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【感想】本多孝好『dele』(角川文庫)- 死後に依頼人のデータを消す仕事を営む二人、様々なデータを消す過程で事件に巻き込まれていく連作ミステリ

本多孝好『dele』(角川文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

本多孝好『dele』(角川文庫)

記憶と記録、生と死からデータが残す依頼人の想いにも触れていくミステリ

あらすじ

【あなたの死後、不要となるデータを削除いたします。】

罪の証。不貞の写真。隠し続けた真実。
『dele.LIFE』で働く圭司と祐太郎の仕事は、秘密のデータを消すだけ――

のはずだった。

あなたの記憶に刻まれる、〈生〉と〈死〉、〈記憶〉と〈記録〉をめぐる連作ミステリ!

「dele」本多孝好 [角川文庫] - KADOKAWA から引用

いわゆるバディもの、クールで車椅子の生活をしている圭司、喜怒哀楽が激しく行動派

の祐太郎のコンビが「死後に依頼を受けたデータを消す」という仕事の本当に依頼人

亡くなったかを確認する過程で依頼を通した周辺人物の思いがけない謎や事件に

関わっていき、互いが互いに良い影響を及ぼし合って、コンビとして成長していく過程

がとてもバディものとして良かったですね!

 

依頼人の死亡確認を通して、それぞれの依頼人が関連する事件の真相を推理していく

連作ミステリとなっており、既に人死にが起きている分、どこかやりきれない解決に

しかならない部分はありつつも、それぞれの短編の読後感は結構良いのですよね。

そこには本多さんだからこそ描ける言葉選びや構成など、結末や真相はわかったものの

闇雲に真相を暴かないことこそが幸せだろうという配慮だったり、人間ドラマとしての

面白さも描かれているのが良い方向に作用しているのかなと思います。

 

エピローグでは、祐太郎の過去の一部などが明かされて、次巻への伏線のように

見える部分なども多少あって、更に続きが気になりますね!

圭司が祐太郎の願いを聞き届けて、祐太郎のことを覚えると言ったシーンは読後感が

良過ぎましたね...バディとしての良さが爆発していた...

 

ドラマが先で原案となったのが本作の小説みたいですが、本多さんらしい言葉選びが

とても素晴らしく、ドラマで気になった方とバディものミステリが読みたい人には

オススメしやすい内容となっており、初心者にもオススメしやすい作品となってます!

気になった方は是非読んでみてください〜。