本多孝好『dele2』(角川文庫)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
本多孝好『dele2』(角川文庫)
あああ
あらすじ
『dele.LIFE(ディーリー・ドット・ライフ)』は、依頼人が死んだときに動き出す。
故人より託された秘密のデータを削除するのが、この会社の仕事だ。
所長の圭司の指示を受けて依頼人の死亡確認をする祐太郎は、
この世と繋がる一筋の縁を切るような仕事に、いまだ割り切れないものを
感じていた。そんなある日、祐太郎の妹・鈴が通っていた大学病院の
元教授・室田から依頼が舞い込む。難病を患い、新薬の治験中に死亡した鈴。
その真相に二人は近づくが……。
いつもの連作短編集の体裁も取りつつ、依頼人の死後のデータを削除するバディものを
しながらも、祐太郎の妹・鈴の死と圭司の関係性が繋がる衝撃の真相で、2人の絆や
祐太郎の決断など見応えのある物語で面白かったですね!
本作の前半で語られる二つの話は前作と変わらずで、人の死から残された故人と関係の
深かった人たちが思い出を大切にしながら、前を向き少しの切なさと爽快感を交えた
終わり方のあるお話となっていて、前作同様のシリーズものとしての安定感のある
面白さでしたね。
中盤から終盤にかけて語られる祐太郎の過去、そして妹の死の真相を知り、圭司が
その死に大きく関わっていた人物の息子であり、祐太郎が圭司に投げた言葉の重みなど
読んでいて辛くなるシーンも多かったのですが、妹のことを想い妹を覚えるために
復讐を選ばなかったという決断も良かったですね。
二人の関係性はもう元には戻れないし、物悲しさを覚える終わり方でしたが、
個人的にはこの記憶を大切にする終わり方はかなり好きだったので良かったです。
本作の最後では離れ離れになってしまった祐太郎と圭司ですが、いつの日にか
また前作と同じ関係でいてほしいと願わずにはいられない一作だったかなと思います。
次作では、その点も語られるのかと期待しております。
前作がハマった方にこそ、是非本作を読んでほしいですね。
シリーズ前作の感想も書いてますので、合わせて読んでみていただけると嬉しいです!
気になった方は本作も是非読んでみてください〜。
