出水 千春『吉原美味草紙 人騒がせな蟹祭り』(ハヤカワ時代ミステリ文庫)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
出水 千春『吉原美味草紙 人騒がせな蟹祭り』(ハヤカワ時代ミステリ文庫)
過去の傷も未来の不安もさくらのお節介と料理が癒していく物語
あらすじ
妓楼の娘たちを支えるため、さくらは今日も工夫を凝らして滋養のある物を作る。
が、さくらの料理の師、・竜次の様子がどうにおかしい。岸和田で武士だったころに
起きた何かが関係しているとわかり、故郷ゆかりの料理で元気づけようとするが……
温かな料理で過去の傷も未来の不安も包んでみせる、料理愛情物語。
吉原美味草紙 人騒がせな蟹祭り: 書籍- 早川書房オフィシャルサイト|ミステリ・SF・海外文学・ノンフィクションの世界へ から引用
本作も平穏とはいかず、さくらの周りでは色々な事件が起こっていましたね。
特に竜次の過去にまつわる話が結構重いし、佐野槌屋の火事で右手に怪我を負った
部分も相まって読んでいるうちに憎めなくなってきたキャラクターだっただけに
その点は物語としては良かったですね。
更に過去の重さと対比して、結末がかなりハッピーエンドとなっており構成も良かった
と思います。最終的に過去の初恋の人ではなく、竜次と結ばれるかなとも思っていたの
ですが、そんなこともなくさくらが鈍いだけなのか...
後は本作でもかなりさくらの作る料理がイメージしづらかったのが残念でしたね。
時代背景のある料理である且つ料理を題材にするのであれば、もう少し詳細に
美味しさや詳細が伝わるように描いて欲しかったですね...
(いちいち料理名とかで調べて何とかついて行ってました...)
本作でシリーズ最終作になっていそうですが、全体としてはまぁまぁの面白さだった
かなぁと思います。正直時代ミステリとしては中々おすすめしづらいかなとは
思いますが、気になった方は本作も是非読んでみてください〜。
また前作の感想も書いてますので、もし良かったら見ていただけると幸いです。
