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【感想】伊坂幸太郎『ラッシュライフ』(新潮文庫)- バラバラ死体から泥棒、信者、カウンセラー、野良犬を拾う無職、それぞれの視点から展開される群像劇的物語。

伊坂幸太郎ラッシュライフ』(新潮文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

伊坂幸太郎ラッシュライフ』(新潮文庫

並行する4つの物語、ただの群像劇では終わらない伊坂節炸裂のお話。

あらすじ

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。

女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は

野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する

十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、

先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎 | 新潮社 から引用

作者の他作品のキャラクターたちが色々なところに仕込まれていたりと小ネタもあり

群像劇で様々な角度から楽しめる物語となっていたのですが、物語の核となる部分が

伊坂節炸裂していたし、伊坂作品で人気キャラの黒澤も登場して面白かった作品。

 

群像劇のように視点が随所で変わっていくのだが、時間軸がずれていたことが明かされ

たときは所々で違和感を覚えたのですが、流石の構成でしたね。

泥棒の黒澤以外にも神に魅せられた青年、不倫相手との再婚を目論む女性、野良犬を

拾う男など個性的なキャラクターたちがバラバラ死体の繋がりを以て、それぞれの

視点の物語から線で繋がっていくのも面白かったですね。

 

やっぱり黒澤の泥棒という職業とアウトローな性格と言動で格好良さがあって好きです

が、豊田がキャラとして良かったですね。失業するし妻子には逃げられるしと散々だけ

ど物語の影響度と途中差し込まれるキャラに気が付かせるセリフも熱いですね。

 

結局物語の着地点として大きく面白さが跳ねるものがなかったのが少々残念ですが

騙し絵的な構造に群像劇で語られる、それぞれの物語は面白かったので読んでいる

途中の楽しさはあった部分は良かったですね。

気になった方は是非本作も読んでみてください〜。