夜繙く

主に推理小説などの感想や日常のこと

【感想】道尾秀介『球体の蛇』(角川文庫)

道尾秀介『球体の蛇』(角川文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

道尾秀介『球体の蛇』(角川文庫)

サヨの死、夢中になった女性への行為、派生した関係性、全てが繋がっていく物語

あらすじ

幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。

白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう――。

幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。

最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。

「球体の蛇」道尾秀介 [角川文庫] - KADOKAWA から引用

あまりミステリらしくもない作品で、どちらかというと闇を抱えた青春小説のような作品かなと思います。友彦は過去のとある出来事に引きづられたまま、心に傷を抱えて過ごし、明らかになっていく過去の出来事でも、そして現在でも少しずつ嘘や悔恨が堆積していき、友彦の周辺人物それぞれが抱えている闇が現在に侵食していって、どこまでいっても残酷な真実が残り続けるのだけど、エピローグでは不思議な余韻を感じられる終わり方をした、中々読んだ上で形容し難い感情になる作品でした。

 

相変わらず道尾秀介さんは少年少女の鬱屈し、悶々としたモヤモヤを描くのが上手すぎました。作中でスノードームが度々登場し、本作のタイトルの「球体」とも掛かっています。ガラス一枚隔てた内側と外側からの見える景色、そして蛇=ウワバミ=星の王子様からの引用、それぞれがラストで結びついて真実とは限らないものの全ての嘘を分かった上で、主人公が選ぶこれからを敢えて描写しなかった部分で上手く、終盤一気に本作の世界観が締まって引き込まれましたね...

 

本作は道尾秀介の黒い部分が全面に押し出された、どこまでいっても救いがない小説なので、読書初心者には少しオススメしづらい部分はありますが、イヤミスのような少し陰鬱な物語などが好きな人や、道尾秀介の言葉選びや描写が好きな人にはおすすめできる作品かなと思います!気になった方は是非読んでみてください〜。

また道尾秀介さんの他作品の感想も書いておりますので、気になった方は合わせて見ていただけると幸いです!

kuromaru8888.net

kuromaru8888.net