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【感想】新名智『あさとほ』(角川文庫)

新名智『あさとほ』(角川文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

新名智『あさとほ』(角川文庫)

双子の妹が行方不明になり、他人の記憶からも消えた幼少期。『あさとほ』の力とは。

あらすじ

夏日が通う大学で教授が突如失踪し、「事情を探る」と言う同級生も大学に来なくなった。部屋を訪ねると本が山積みになっており、「あさとほ」という無名の古典を執拗に調べていたらしい。そして風呂場には彼女の遺体が……。

同じように失踪した人が他にもいると知った夏日は、幼いころ双子の妹が失踪した日の思い出を重ねてしまい、恐る恐る調査に乗り出す。はたして単なる”お話”に、生き死にを左右する力があるだろうか? 

人間と物語の本質に迫る、精緻を極めたホラーミステリ。

「あさとほ」新名智 [角川文庫] - KADOKAWA

読み終わった後に一番最初に出てきた感想は「うわぁ...評価に困る作品だなぁ...」だ。個人的にはそんなにハマらなかったなぁ...

結局テクスト(文章)ではなく、テクスチャー(布)であるとこまでは舞台装置の推理上良いとして、途中から物語とは、という部分に踏み込んだ辺りから、登場人物たちも記号的になってしまい、私たちが読む物語としては面白く無くなってしまったのかなぁと思いました。

 

物語全体から常に不気味で冷たい雰囲気を感じらて、何処となく現実離れした世界観でホラー的なテイストもありつつ、全体的な雰囲気は作品として良かったと思う。

しかし、個人的には別に私たちが読む物語として面白いかどうかは置いておいて、物語の登場人物のための物語になってしまっているように感じた。

「分かりづらい」というのも一個感じた点で、定型からあえて脱して結末を曖昧に持たせることで、夏日もしくは青葉がどちらにせよ物語を語ることでしか物語足り得ないとなっている部分も終着の見えない終わり方になっているのが私たちが想像する物語的に面白くないのが残念だなぁ...

 

期待通りになっていなかったから面白くないという側面があるのも否定できないが、最終的に何読まされているんだって思うような分かりづらさのまま終わっているのは良くないよねという感じかなと...(分かりづらいように敢えてしており、それも理解できなければ本作を楽しむ資格はないと言われたらお手上げですが)

 

どうやら単行本と文庫で結末が変わっているようで、気にはなるもののこれ以上この作品で面白さを感じられるのかなぁ...という気持ちもあり、気が向いたら読んでみたいなぁと思います。気になった方は本作も是非読んでみてください〜。