今村昌弘『魔眼の匣の殺人』(創元推理文庫)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
今村昌弘『魔眼の匣の殺人』(創元推理文庫)
「48時間のうちに男女が2人ずつ死ぬ」という予言の中で葉村と比留子は生き残ることができるのかーー
あらすじ
「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」人里離れた施設に暮らし、予言者と恐れられる老女は、その日訪ねた葉村譲と剣崎比留子ら九人に告げた。
直後、彼らと外界を結ぶ唯一の橋が燃え落ちて脱出不可能に。予言通りに一人が命を落とし、さらに客の女子高生が予知能力者と判明して慄然とする葉村たち。残り48時間、死の予言は成就するのか。ミステリ界を席捲したシリーズ第2弾!
魔眼の匣の殺人 - 今村昌弘|東京創元社 から引用
剣崎比留子シリーズ2作目となります。本作もかなり面白かったですね。
しっかり本格ミステリらしくロジックが仕込まれており、ハッピーエンドとはならないものの幾重にも仕掛けられた伏線が終盤に次々と炸裂していくのはお見事でした。
斑目機関という超常の力を研究する機関を調査していくため、前作は「ゾンビによるパンデミック」でしたが、今回は「予言」という超常現象が鍵となりました。この「予言」を上手く活かしたクローズドサークルにもなっており、また一つ本格ミステリとしての面白さが上がってましたね。
サキミという「男女が二人ずつ死ぬ」という今まで的中率が100%の予言の他にも十色という女子高生の「スケッチした不吉な状況が確実に起こる」という予言の亜種も「予言」をホワイダニットの一助に上手く絡めていたのが本作の秀逸なところの一つだったと思います。
この「予言が確実に当たる」が科学的根拠のないまま下地になりつつ事故死や獣害による偶発的な死も起こし、故意に行なった殺人が紛れ込むことで上手く強迫感を演出していたのが物語に引き込まれる面白さもあったなと感じました。
本作も予言を恐れた村人から唯一外と繋がる橋を落とされることでクローズドサークルとなるのですが、限られた登場人物の中にもしっかりとそれぞれ謎を伏線として張りつつ徐々に明かされていくテンポ感が本格ミステリとして丁度よく、終盤で明かされるサキミ様の謎なども十色のことを思うとビターエンドとなり、それがバディとしての影響にも少しずつ与えていたのがバディものとして良かったと思います。
文庫本派のため、まだ3作目と4作目は読めていないのですが、どうやら2025年10月に3作目の『兇人邸の殺人』が文庫化されるみたいです。本作の最終盤ではまたもやバディとしての在り方の部分に亀裂が入ったように見えたので次回作でのミステリ部分ももちろんですが、葉村と比留子のホームズとワトソンとしての在り方も気になるところですね!
本作からいきなり読むと、斑目機関との関わりや葉村のワトソンとしての在り方やホームズの喪失による確執などが不明瞭になるため、できれば前作から読むことをオススメしますし、シリーズものとしての面白さは確実にあるので、是非気になった方は本作と合わせて前作も読んでみてください〜。前作の感想も書いておりますので、気になった方は是非見てみてください〜!
