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【感想】澤村御影『准教授・高槻彰良の推察EX3』(角川文庫)

澤村御影『准教授・高槻彰良の推察EX3』(角川文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

澤村御影『准教授・高槻彰良の推察EX3』(角川文庫)

美術部のヌード絵の呪い、沙絵の過去や佐々倉の誕生日祝いなど盛り沢山の番外編

あらすじ

ゼミ合宿の写真を見ながら、尚哉は写真にまつわる高槻の講義と、ある絵についての依頼を思い出す。それは女子校の美術部にある絵で、「絵から抜けだした女を見ると呪われる」らしい。高槻は早速調査に向かうと言い出すが……。

ほか、ゼミ合宿の裏側で起きていた、沙絵、そして難波のお話や、イギリス時代の渉と高槻の「妖精が入っている箱」についての切ない秘密、佐々倉の誕生日祝いなど、謎と思い出がいっぱいの番外編!

「准教授・高槻彰良の推察EX3」澤村御影 [角川文庫] - KADOKAWA から引用

いつものように怪異の噂から本物の怪異かを確かめに行く短編と難波や沙絵、幼少期の高槻と渉、そして佐々倉の誕生日のエピソードが描かれており、どれもキャラクターたちの背景や心情、過去などを知ることができて、より一層このシリーズが好きになる本巻でした!

 

他キャラのエピソードだと、特に難波の話が良かった。普段は陽気でTHE・陽キャみたいな性格なのに、しっかりと線引きを意識して過去に憧れた非現実なキャラに対して持つ憧憬のようなものも全て飲み込んで深町との関係を続けていく彼の生き様が改めて描写されていてとても良かったですね。過去のエピソードで深町の表側との唯一の架け橋となることが示唆されているので、これからも難波と深町の友情を見守っていきたいです。

もちろん他にも語られた八尾比丘尼として歩んできた沙絵の過去、高槻の幼少期と渉のエピソード、佐々倉の誕生日関連のお話など、それぞれに個性があって面白かったですね。

 

最初の「毎週金曜日に美術部のヌード絵から女が飛び出してきて、見たら呪われる」お話が一番本編の序盤に近いので、ここから入った人で上記の短編が良かったと思う人にはオススメしたいですね、怪談や伝奇を取り扱っているけど直接驚かせてくるホラー要素は少ないし、ちょっとした謎解きくらいなので、キャラクター文芸としても面白いです!

段々と高槻を取り巻く環境が本物の怪異が近づいていきたりなど、不穏な本編の展開なども待ち受けていそうですが、番外編は番外編で良いものですね!気になった方は本作も是非読んでみてください〜。