似鳥鶏『さよならの次にくる <卒業式編>』(創元推理文庫)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
似鳥鶏『さよならの次にくる <卒業式編>』(創元推理文庫)
前作のキャラも登場し、伊神さんの卒業にフィーチャーした学園ミステリ二作目の前編
あらすじ
「東雅彦は嘘つきで女たらしです」愛心学園吹奏楽部の部室に貼られた怪文書。
部員たちが中傷の犯人は誰だと騒ぐ中、オーボエ首席奏者の渡会千尋が「私がやりました」と名乗り出た。初恋の人の無実を証明すべく、葉山君が懸命に犯人捜しに取り組む「中村コンプレックス」など、〈卒業式編〉は四編を収録。
デビュー作『理由あって冬に出る』に続くコミカルな学園ミステリ、前編。
本作は連作短編形式かつ伊神さんの卒業という大イベントがあってとても面白かったですね。伊神さんと葉山くんの関係値が多分今まで作中で語られた以外にもあって今見えている部分以外にも深さがあると思うと、ほろ苦さと学年が違うというどうしようもなさの間に別れの寂しさがあって、学園ミステリ特有の青春らしさを感じることができてとても良かったですね...
メタ的な話をすると、探偵ポジションとしてかなり魅力的だった伊神さんが卒業という形でシリーズからこんなに早くフェードアウトしてしまうのは、驚きもありましたが、次巻からの展開に期待としたいです。
他にも幼い頃の悪戯が少し心のくびきとなっていた「あの日の蜘蛛男」や葉山の初恋の相手が絡んでくる「中村コンプレックス」、そして伊神の過去の一部がわかるような「猫に与えるべからず」など、それぞれに日常の謎を追い求めるような青春ミステリの短編としても粒揃いな短編集となっており、それぞれ楽しむことができました。
よくよく見てみると本作は前編で断章の謎はまだ明かされていないまま、伊神さんの卒業と福岡への旅行で幕を閉じてしまいましたね。次巻の後編では探偵ポジションが誰になるのか、葉山くんが奔走するのか、それとも新しい探偵ポジションのキャラが出てくるのか気になりますね。前作の雰囲気が好きな方にはお勧めできると思います!気になった方は本作も是非読んでみてください〜。また前巻の感想も書いておりますので合わせて見ていただけると幸いです!
