町田そのこ『コンビニ兄弟2―テンダネス門司港こがね村店―』(新潮文庫nex)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
町田そのこ『コンビニ兄弟2―テンダネス門司港こがね村店―』(新潮文庫nex)
居心地の悪さを覚える高校生、無個性と悩むバイト店員、親友と離別した高校生、それぞれが迷い訪れたコンビニが齎す救いの物語。
あらすじ
失恋をして居心地の悪さに高校をサボった永田詩乃は突然綺麗になった祖母と意外なところで出会う。バイト店員・廣瀬太郎は自分のことを退屈な男だと思っているのに、キラキラ美少女がその日常を乱し始める。親友と別離した村井美月は辛い現実を越えて新たな一歩を踏み出していく。大切な想いをささやかにつなぐ場所、名物店長と個性的な客たちが集う小さなコンビニの心温まる物語。
なんだか自分を認められたみたいに感情移入してしまうキャラクターを描けている良いシリーズで、本作もそれは健在でそれぞれの短編で語られる登場人物たちの悩みみたいなものに前向きな解答を志波家の兄妹たちと関わることで得られていく過程も良いのだよな。基本的にメインとなるキャラクターが「芯」の部分に善人なのも読み口が心地よいのも素晴らしい。2作目もとても面白かったです。
恋の考察をグランマと
恋に目覚めた祖母と恋人にも振られて家庭でもストレスを抱える孫の高校生の娘のお話。前半の思春期部分の描写が結構心に来ましたね...まぁ、かといって自分自身が詩乃ほど中学生の頃に大人的な視点を持てていたかと言われると、決してそうではなくどちらかというと大輔寄りだったので、尚のこと心が痛かった...
だからこそ自罰的になったところで梓が声をかけて報われたことがより際立って良かったのよね...親子の問題もどうにかなる、きっとそう思わせてくれる、そんな終わり方でした。
廣瀬太郎の憂鬱
ツギさんの格好良さに痺れた。そして廣瀬太郎という男が一皮も二皮も剥けた姿も格好良すぎましたね。コンプレックスとなっていた部分に埋没した「芯」を志波兄妹に見出された自分自身が持つ答えに気づき、即行動に移すところは真の意味で格好いい男だなと思います。キャラと相乗して物語も良かった。
クイーンの失脚
1作目で親友と喧嘩別れしてしまった美月のお話、過去の自分のような人物が目の前にいたり、過去の自分の行いの結果が突きつけられた時の自己嫌悪など、全てが嫌になった時に差し伸べられた、真正面から諭し向き合ってくれる志摩という友人。救いにも似た存在のありがたみが、とてもドラマチックで素晴らしかったですね。
"「呆れる」という言葉は知ってるつもりの人が使う"、"失敗を経て大人になる"など当たり前の標語のような言葉も、この作品を通して物語の中で語られることで、より染み入る言葉となっており、物語と同調して冷たくなった心が最後にはじんわりと暖かくなりました。
エピローグの終わり方はツギの過去の入り口が見えてくる不穏な終わり方でしたね...この物語が持つ毒を濃縮したような不穏さがありましたが、続きが気になりすぎる。心温まる物語だけではない良さ、というのが本作ではあったと思うので、一作目を読んだ方にはオススメできそうな続きモノでしたね。気になった方は是非本作と合わせて前作も読んでみてください〜。前作の感想も書いておりますので、気になった方は是非見てみてください〜!
