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【感想】横関大『グッバイ・ヒーロー』(講談社文庫)

横関大『グッバイ・ヒーロー』(講談社文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

横関大『グッバイ・ヒーロー』(講談社文庫)

立てこもり現場にピザを届ける──その日、青年の信念が物語を動かす

あらすじ

ピザを届けるのが俺の仕事だ。それがたとえ、拳銃を持った男が立て籠もっている場所でも。立て籠もり現場にピザを届けることになったバンドのリーダー、伊庭亮太。

だがそこにいたのは、腰の低いおっさんだった。託されたメッセージ。奇しくも今夜は大切なライブの日。だけど困っている人がいたら助けなければならない。おっさんと亮太の長い一日が始まる。次々くり出される意外な展開が止まらない!

『グッバイ・ヒーロー』(横関 大)|講談社 から引用

横関大さんの読みやすい文章、そしてサクサク進む展開に熱いラスト。エンタメ小説として分かりやすく楽しむことができました!緊迫した状況が多い中でどこかコミカルかつシュールに映る展開が多く、スピード感もある描写の中で一気読みしてしまいましたね。

 

主人公はバンドマンでピザ屋のアルバイト、そして困った人は放って置けない性格の亮太という青年ですが、亮太のこの性分が物語的にも良い方向に作用しており、とにかく格好良い人間なんですよね。少し常識人的な葛藤や人間的な弱さもありつつ根っこのところは変えられない生き方が、様々な行動を後押ししており、それに感化された立てこもり事件の人質であったおっさんも過去の行いを悔いつつも、前へ向くための行動を起こしていたのが輝いて見えましたね。

第一部で慌ただしいおっさんとのコンビを感じて、そこから第二部で数年後に亮太のバンドのライブで影ならがおっさんが動いていて、改めて二人の絆を感じた部分も良かったなぁ、最後の亮太のセリフがグッときて感動しました。読んでみて総じて一本の良い邦画を駆け抜けて見ることができた爽快感のようなものを感じてとても面白かったですね。

 

横関大さんらしい分かりやすく読みやすい文体につまづくことのないスピード感のある展開、そして最終的に様々な伏線が噛み合う結末がとても良かった作品でした。若干伊坂さんの作品にも世界観というか設定が似ている気がしており、読書初心者の方にもオススメしやすい読みやすさがある小説かなと思います。気になった方は本作も是非読んでみてください〜。