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【感想】町田そのこ『コンビニ兄弟5―テンダネス門司港こがね村店―』(新潮文庫nex)

町田そのこ『コンビニ兄弟5―テンダネス門司港こがね村店―』(新潮文庫nex)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

町田そのこ『コンビニ兄弟5―テンダネス門司港こがね村店―』(新潮文庫nex

店長・志波三彦の過去、樹恵琉との別れなど出会いと別れを繰り返すシリーズ5巻目。

あらすじ

コンビニパート従業員の中尾光莉は冬のある日、休日の店長・志波三彦に遭遇する。どこかいつもと様子の違う店長だが、思いがけない出来事に巻き込まれ、彼の驚きの過去を知ることに──。バイトと飼い猫と推しである志波樹恵琉の存在によって満ち足りた生活を送る高木恋斗。だが、彼女が門司港を離れると知り、一つの決断をする……。新たな展開を迎える大人気コンビニ物語第五弾。

『コンビニ兄弟5─テンダネス門司港こがね村店─』 町田そのこ | 新潮社 から引用

前半から中盤にかけて店長の過去話で殴られ続けましたね、本シリーズらしい人間の成長という部分と悲しいやるせなさが同時にぶつかってきて物語的にはかなり面白かったし、感情を激しく揺さぶられました。やはり凄い作品でした。

一度だけのボーイミーツガール

要所要所で胸が潰れて涙が出そうになる物語だった。コンビニという場所が自分にとっての居場所となった店長・志波三彦の過去と妹が生まれることになり、自分自身の居場所がなくなったように感じてしまい感情の発露に悩む川瀬少年の境遇がリンクしたお話。

似たような経験を経ている先達者である三彦の居場所の話は染み入りましたね、川瀬少年も自分自身の感情を言葉にできており、答えは出ないなりに正解の道を進んでいけそうな終わり方になっていた良かったですね。

店長の家出から成る過去も良いお話、ハッピーエンドの大団円と終わったと思いきや美幌さんは強盗事件によって亡くなっていたというパワーありすぎるワードで殴ってきて本気で心が痛くなりました、人のやることじゃないよ(褒め言葉)

二度目もまた出会う

似瀬さんとの再会、そして三彦が美幌さんと出会ってからどうやって今の店長になったのか、起きたことは悲劇でしかないのだがいつか生まれ変わって出会えると信じて今でも初恋の心を持ち続けテンダネス門司港こがね村店で待ち続けているのは最早呪いのような形で縛り続けていると感じるのとは裏腹にその想いがなければどうなっているか分からないと考えると大きな消えない傷のようになっているツギさんの兄心もわかるんだよなぁ...

別れは再会のためにある

自分の夢を見つけることができた樹恵琉が門司港を出て東京に行く別れの物語、樹恵琉の恋にも決着がつき、別れはただの悲しい終わりではなく再会のための始まりという本シリーズらしいメッセージ性が付与されていて良かったですね、ただ前編で重いお話をやっていて少しあっさり気味にも感じてしまい、そこは残念。もっと膨らませても良かった題材かなとも思いました。

 

本シリーズらしい言葉選びに物語の核となりそうな店長の過去、まだまだシリーズとして続きそうだし暖かさの中に切なさが残る雰囲気は健在でした、2026年春に中島健人さん主演でドラマ化するのが本当に楽しみです。気になった方は是非本作と合わせて前作も読んでみてください〜。前作の感想も書いておりますので、気になった方は是非見てみてください〜!

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