※ネタバレを含みます※
飛鳥部勝則『ラミア虐殺』(光文社文庫)
閉ざされた空間で牙をむくのは、人か、それとも──。
あらすじ
吹雪に閉ざされた山荘で若い男の死体が発見される。それは、続く惨劇の序曲に過ぎなかった。被害者が2人、3人と増え、連続殺人の様相を呈する中で、残された者たちは互いに疑心暗鬼に陥る。彼らの精神状態が極限に達し、自らに眠る獣が牙を剥いた時、誰も予想し得なかった地獄絵図が繰り広げられる……。
近年、旧著が続々と復刊される飛鳥部勝則の作品のうち、最恐の衝撃作が、20数年の時を経て待望の文庫化!
ラミア虐殺 - 光文社 から引用
結構評価に困る作品でしたね...スピード感のある展開、クローズドミステリのお約束である猛吹雪の山中の山荘で起きる連続殺人事件、と思いきや怪獣バトルが突如として始まって、合間に挟まる探偵ポジションじゃない登場人物からの論理的推理による連続殺人犯の指摘、高低差があってミステリ、スプラッタ、ホラー、SF、様々な要素が一堂に介して挟まるものだから温度差で風邪ひきそうになりました。
総評として楽しめるし読みやすいのですがミステリとしてみた場合、微妙といったところでしょうか。どこか幻想小説的な雰囲気もありながらもスプラッタ色強めで起きる連続殺人の中で行動する登場人物たちが、被害者が増えるたびに気がつけば化け物だらけになって、戦いを起こすまでの流れが激しく描写されていて、とても楽しめたのですが、そこから気がつけば論理による推理の補強を添えてミステリの土台に引き戻したのは手腕がすごいと思いました。
どうやら20年間以上文庫化されていなかったみたいで、初読の作家さんだったのですが読んでみて良かったです。ともすれば中途半端な出来になりかねない題材の取り扱いと構成なのに、勢いとスピードで終盤まで描き切っていた展開は評価したいし、結構新しい構成で楽しめたので読んで良かったなと思いました。
読みやすいし、正直全体を通して物語として面白くはなかったのに、何故か読んでいる最中はすごい楽しかったという謎の読書体験になりました。気軽に人にオススメしにくいのですが、ミステリを結構読んだ人には一読の価値ありとしてオススメしてみたいですね!著者の他作品も復刊されていっているので、これを機に読んでいきたいと思います!気になった方は本作も是非読んでみてください〜。
