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【感想】道尾秀介『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』(講談社文庫)

道尾秀介『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』(講談社文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

道尾秀介『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』(講談社文庫)

詐欺師二人、拾われた家族――彼らが挑むのは運命へのリベンジ。

あらすじ

人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。道尾秀介の真骨頂がここに!

『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』(道尾 秀介)|講談社

から引用

道尾秀介らしい文体の中に、主要人物である2人の中年、そして分け合って拾った少女とその家族とペット、5人と一匹がコミカルさもあり、コンゲーム的な読み応えや怒涛の伏線回収による読後の爽快感などもあるとても良い作品でした。

 

いやぁ〜、見事に騙されましたし違和感を感じずに終盤まで読んでいた自分がいて、終盤にこそ明かされる種明かしは作中にもでてきましたが超一流のマジックを見終わったかのような気持ちでした。

詐欺師であったことを後悔するテツさん自身が、詐欺でしか何かを行うことができないことを苦しく思い、信用をすることでしか人は生きられないのに、信用を裏切る自身の詐欺という生業を屑と自認するやるせなさには、物悲しさがありましたね。

前半の家族のような共同生活、そしてヒグチに対する報復作戦など、それ単体でも物語として面白かったのですが、見事に終盤でどんでん返しをぶつけられ、タイトルも回収されて意味合いにも納得させられる物語となっているのも高評価です!

 

道尾秀介と言えば、黒道尾な作品も多く「向日葵の咲かない夏」などのどうしても仄暗い作品で苦手意識を持つ人も多いかも知れませんが、どちらかというと本作はエンタメ小説になっており、どんでん返しはあれどイヤミス的なものが苦手な人だという人にこそオススメしやすい道尾秀介作品だと思います!気になった方は本作も是非読んでみてください〜。