木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚 業火のワイダニット』(講談社タイガ)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚 業火のワイダニット』(講談社タイガ)
閻魔堂で明かされる“ワイダニット”の真相――命を懸けた推理
あらすじ
「僕を殺したのは、たった一人の友だちなのか?」天涯孤独の土田は大学受験を前に、友人の夏目の家で焼死した。夏目は酷薄で人を殺してもおかしくない人間だ。僕には生きる目的もないし死んでやってもいい。でも、僕を殺した理由はなんだ?死亡した土田の前に現れたのは、閻魔大王の娘・沙羅だった。今回の謎はワイダニット(なぜ殺したか)。もう一度友人と話すため、霊界の推理ゲーム開廷!
シリーズ3作目です。本作の特徴である「死後に生き返りを賭けた自分の死を推理する」という構成は変わってないですね。安定した面白さの中に沙羅の含蓄深い閻魔様の娘らしい説教もあり、一度死んだ者たちがそれぞれ一つの方向性に向けて再度人生を進み直していくのは、やはり本作の面白いところですね。
「外園聖蘭」
苦労してきた分、天国行きが確定しているものの死の真相を推理しきったのはお見事。まぁ沙羅の説教もあってか、少しは前を向けたのかなと思うと読後感は良い。しかし内容に関してはオーソドックスなお話になっていたかなとも思います。
「仙波虎/遠山賢斗」
シリーズ初の二人での挑戦パターン。昨今の時事問題などにもメスを入れていた様子。推理自体は協力しあって意外にもしっかりと導き出せていましたが、現実に戻ってからの幼いながらも推理を出し切った賢斗のこれからに期待ですね。
「土田裕太」
表題作、途中で伏線が露骨に張られていたりと意外と内容自体は分かりやすいものの幼馴染の闇が色濃くあったりと本作の短編の中では結構ブラックだった気がします。絶妙にザラザラとした物語だったものの楽しむことはできました。
安定した面白さでシリーズものといえど短編集としてのミステリで、シリーズの途中から読んでも楽しめそうで、ミステリ初心者にも入門編としてオススメしても良さそうですね!気になった方は本作も是非読んでみてください〜。またシリーズの前作の感想も書いておりますので、もし良かったら合わせて読んでみていただけると幸いです。
