横関大『沈黙のエール』(講談社文庫)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
横関大『沈黙のエール』(講談社文庫)
父の死、第二の殺人、家族の秘密が明かされて全てが繋がる終盤に描かれる感動の結末。
あらすじ
「家族だから、言えなかった」最後に明かされる真実に、あなたは涙する。修行中のパティシエ、里菜。七日後にフランス留学を控えた彼女の元を一人の少年が訪れる。遠い親戚だという彼が現れた夜、父が殺され、実家の洋菓子店が火事になった。警察は素行不良の里菜の兄に疑いを向けるが、そのとき第二の殺人が起きる。すべての始まりは十年前。大切だからこそ生まれる家族の秘密。「家族だから、言えなかった」最後に明かされる真実に、あなたは涙する。号泣ミステリーの大本命!
『沈黙のエール』(横関 大)|講談社 から引用
横関大さんらしい登場人物の不器用さの中に繋がっている人たちの優しさや人情を描く煌びやかな派手さはないもののミステリの様式に則った上手な物語だったと思います。文体もわかりやすく、謎が謎を呼び次々と明かされる事実と登場人物の隠された思いなどがしっかりと表現されており、本作のタイトルである『沈黙のエール』という語らないからこその人を想う優しさが意味を持たせている良いタイトルでした。
最初は里菜の兄である克己も素行が悪くどうしようもない人間だと思いましたが、読んでいるうちに憎めない部分が出てきて、家族や仲間思いな人間である部分が出てきて、終盤にはその思いやりの部分がしっかりと感動のものになるよう描写されていて物語にも良い影響を与えていたのが個人的には好きな部分ですね。里菜と深津が共に家族の謎や事件の調査する部分はトントン拍子に進んでいくのですが、まぁエンタメミステリ的な構成なので個人的にはスルスルと読めて良かったと思います。
横関大さんのノンシリーズで人の不器用な優しさがしっかりと描かれた良い作品で他の著書同様に横関大さんの文体や構成が好きな人にはオススメできる作品だと思います!気になった方は是非本作も読んでみてください〜。
