早瀬耕『グリフォンズ・ガーデン』(ハヤカワ文庫JA)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
早瀬耕『グリフォンズ・ガーデン』(ハヤカワ文庫JA)
恋愛とSFの融合、森深くにある研究所の名前は「グリフォンズ・ガーデン」
あらすじ
東京の大学院で修士課程を終えたぼくは、就職のため、恋人の由美子とともに札幌の街を訪れた。勤務先の知能工学研究所は、グリフォンの石像が見守る深い森の中にあり、グリフォンズ・ガーデンと呼ばれていた。やがてぼくは、存在を公表されていないバイオ・コンピュータIDA‐10の中に、ひとつの世界を構築するのだが…
グリフォンズ・ガ-デン / 早瀬 耕【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア から引用
SF的な世界観と恋愛小説のエッセンスも感じる本作、著者のデビュー作で雰囲気十分な作品となっており、短いながらも楽しむことができました。理学的なお話も出てきたり一人の青年が構築した一つの世界と現実世界の境目が曖昧になっていき、それぞれで持つ恋愛関係に現実と非現実の狭間を行き来するような良い意味での気持ち悪さが良かったですね。
情報工学や哲学など様々な分野の情報を絡めて、デビュー作特有の何処か青々しい男女の会話など、少し照れ臭くなるような様子を思わせる描写もあり、その点も本作の雰囲気作りの一助になっておりました。
同著の「プラネタリウムの外側」へと続く物語らしく読む時はこちらを先に読むと良いですね。蛇足ですが、本作の舞台が北海道の札幌市なので、私の出身と同じで北海道大学や大通公園など馴染み深いもので、その点も読んでいるうちに情景が浮かびやすくて親近感を覚えました。
本作を十全に理解できたわけではないのですが、本作が持つ雰囲気はかなり好きで不思議な味のある作品だと思います。ハードルの高さを覚えるようなSFではないと個人的には思うので、色々な人に読んでみて欲しいなと思います。気になった方は是非本作も読んでみてください〜。
