道尾秀介『鏡の花』(集英社文庫)の感想になります。
※ネタバレを含みます※
道尾秀介『鏡の花』(集英社文庫)
パラレルワールドにて展開される喪失と後悔、そして一筋の希望の物語。
あらすじ
少年が解き明かそうとする姉の秘密、曼珠沙華が物語る夫の過去、製鏡所の娘が願う亡き人との再会……。「大切なものが喪われた、もう一つの世界」を生きる人々。それぞれの世界がやがて繋がり合い、強く美しい光で、彼らと読者を包み込む。生きることの真実を鮮やかに描き出すことに成功した、今までにない物語の形。ベストセラー『光媒の花』に連なり、著者の新しい挑戦が輝く連作小説。
花シリーズとは銘打たれているものの、直接的なつながりはないように感じたため、どちらから読んでも問題ないと思われます。それぞれのパラレル的に語られる短編では決して救いのあるお話にはなっていない、かつ後悔や喪失などの後ろ向きな気持ちになる物語が形成されていっているのですが、最終話にあたる6つ目の短編「鏡の花」で淡くも一筋の希望が物語として昇華されていき、絶妙な余韻を残す終わり方の作品となっていたのが良かったですね。
悲しくも優しい淡いテイストな物語群で日常の中に生まれた寂しさを荒ぶように入れてきて後悔など悲観の感情がのしかかるのだが、最後に心の重さだけでは終わらせない見事な構成と物語でした。道尾秀介の作品だからともオススメできるし、作者を前面に押し出さなくともオススメできる良い連作短編集だと思いました。気になった方は是非本作も読んでみてください〜。
