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【感想】道草家守『龍に恋う 八 贄の乙女の幸福な身の上』(富士見L文庫)

道草家守『龍に恋う 八 贄の乙女の幸福な身の上』(富士見L文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

道草家守『龍に恋う 八 贄の乙女の幸福な身の上』(富士見L文庫)

銀市から想いを告げられた矢先に、珠の村と同じ名前を冠する新興宗教 “雨女教” が動き出す新展開の8巻。

あらすじ

「君を愛しいと思う」――銀市に想いを告げられてから妙に意識してしまう珠。そんな彼女の前に、同郷の友人・珠璃が現れる。妖怪たちと働く珠を心配する珠璃へ銀古での出来事を語るうちに、珠は銀市への気持ちがこれまでと違うことを自覚して……。
一方、銀市のもとには妖怪たちから「突然人間に正体がバレるようになった」という相談が来るようになる。珠の村と同じ名前を冠する新興宗教 “雨女教” が関係すると知った銀市は密かに調査を始める。その矢先に、冴子との結婚式が迫る重太にも「お前の秘密を知っている」と脅迫状が届き――。

「龍に恋う 八 贄の乙女の幸福な身の上」道草家守 [富士見L文庫] - KADOKAWA から引用

銀市が珠に想いを告げ、指輪を渡したところで幕を閉じた前巻から一転、今巻では珠の過去が姿を変えて再び眼前に現れて不穏な空気に...。珠と銀市の関係がようやく一歩前進したかと思いきや、喜びに浸る間もなく新たな波乱が押し寄せる展開に「二人にはもう穏やかに幸せになってほしい」と思いながらも不穏な展開があり先が気になりますね。


想いを告げられてから銀市を意識し、気まずさを抱えながら戸惑う珠の姿がとにかく微笑まし買ったですね。長らく「贄」として自分の感情を封じてきた珠が巻を追うごとに自分の感情と向き合い素直に感情を出していき、銀市の愛情表現にたじたじになっている様子もしっかりと描かれていて良いですねぇ。自分の気持ちが変化していることには薄々気づいているようだが「自覚」まではまだもう一歩かかりそうで、良い意味でのじれったさもシリーズを追っていて嬉しい部分の一つです。

次に今巻のもうひとつの柱となるエピソードが冴子と重太の披露宴をめぐる騒動。重太に届いた脅迫状の犯人については最初は横恋慕かと思いきや、またもや"雨女教"絡みで尚のこと不穏な展開へ...。そんな展開がありつつも重太と冴子の結婚式は無事に銀市や珠の力を借りて終わって、重太の正体が遂にハッキリとしてしまうも、それすらも受け止める冴子の度量の大きさが格好良かったですね。正体がバレてからも寧ろさらに好きになっていそうな関係性が更に可愛かったです。

そして今巻最大の謎が、珠と同郷の珠璃の登場。雨女村と同じ名を冠する新興宗教の存在が浮上するなかで現れた珠璃は珠を気遣う様子は本物っぽいのに、その真意がまったく読めないという...。珠を助けたいのか、村に関係するのか、それとも別の思惑があるのか。自分が犠牲になる覚悟で動いているとしたら少し切ないですね...。ただ、あの宮司も含めて信用してよいのか判断できない不穏さが残り、次巻への引きとして見事な仕掛けになっており続きが気になりすぎました。

 

シリーズ八冊目ながら、新章の幕開けという勢いに満ちた展開が始まり、次巻以降の展開も楽しみです。ヒロインが少しずつ自分の気持ちに気づいていく成長を見届けたい人にはオススメな展開の多いシリーズで、珠が自分なりの答えを出す日を心待ちにしながら続刊を待ちたいと思いました。気になった方は是非本作も読んでみてください〜。