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【感想】三津田信三『歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』(角川ホラー文庫)

三津田信三『歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』(角川ホラー文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

三津田信三『歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』(角川ホラー文庫

刀城言耶の弟子が伝聞の怪異を論理で解決に落とし込むホラーミステリ

あらすじ

見れば見るほど何処か可怪しい――。

無明大学にある「怪異民俗学研究室」(怪民研)は、作家であり探偵である刀城言耶の研究室で、膨大な書籍と曰くある品で溢れている。

瞳星愛は、昔遭遇した“亡者”の忌まわしい体験を語るため怪民研を訪れた。

言耶の助手・天弓馬人は熱心に推理を巡らせ、合理的な解釈を語るが、愛は“ある事実”に気づいてしまう。首無女、座敷婆、狐鬼、縮む家――数々の怪異と謎に2人が挑む。本格ホラー・ミステリの名手による新シリーズ、開幕!

三津田信三ワールドの魅力が凝縮された連作短編集。

「歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理」三津田信三 [角川ホラー文庫] - KADOKAWA

から引用

安定して面白かったですねー、本作の主人公である瞳星愛の怪異の体験談をきっかけに言耶の助手・天弓馬人が合理的な解釈や推理を語る構成で様々な怪異に結論をつけていくがそこはホラーミステリらしく、また三津田信三らしく合理で解決できないホラー的な落とし所も合わせて持ってきて短編としても、それぞれが安定した面白さを見せてくれましたね。

どうしても物語構成の都合上、全てが見聞きした体験を研究室で聞いて安楽椅子的に解決していくことから、巻き込まれている当人的な恐怖を煽るものはなかったので、少し緊迫感自体は薄れているものの、体験した人々から語られる怪異の内容はどれもしっかりとホラーとしても構成されていた部分は好印象です!

物語の最後には作者のファンであれば、嬉しくなるような要素も...?

本作を最後まで読んでみると、刀城言耶シリーズはもちろんのこと他シリーズとの関連も明示されている部分が描かれていて、その点でも嬉しくなりますね。

講談社から出版されておらず、角川ホラー文庫繋がりなのはそういうこと...?)

また、どうやらシリーズ続編が単行本で2025年6月に発売されるようで、その点でも続編に更に期待が高まる一作だったのも間違いないです!

 

表題作の「歩く亡者」や「腹を裂く狐鬼と縮む蟇家」「目貼りされる座敷婆」辺りの物語はしっかりと作中にも伏線らしい伏線や論理で解決できない怪異とのバランスがしっかりと取れていてホラーミステリーらしさのある部分がとても良く、「近寄る首無女」辺りは怪異と推理の結論が少しバカミスっぽくて、その点でも楽しめましたね。

「佇む口食女」は本シリーズ一作目のラストを飾るにふさわしく物語としてのオチもしっかりとつけてくれていたことと先述した嬉しくなる要素も含まれていて、とても良かったと思います!

 

次回作が文庫化された際には是非読んでみたいと思います!

気になった方も是非読んでみてください〜。