夜繙く

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【感想】道尾秀介『骸の爪』(幻冬舎文庫)- 口を開けて笑う千手観音や闇の中で血を流す仏像、人が消える工房の中で起こる怪奇現象。真備シリーズ2作目。

道尾秀介『骸の爪』(幻冬舎文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

道尾秀介『骸の爪』(幻冬舎文庫

笑う千手観音、血に濡れた仏像──霊と殺意が交錯する山間の密室。

あらすじ

ホラー作家の道尾は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房・瑞祥房を訪ねる。

彼がその夜見たものは、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で血を流す仏像。

しかも翌日には仏師が一人消えていた。道尾は、霊現象探求家の真備、

真備の助手・凛の三人で、瑞祥房を再訪し、その謎を探る。

工房の誰もが口を閉ざす、二十年前の事件とはいったい。

骸の爪 / 道尾 秀介【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア から引用

前作よりも本格ミステリらしく、それでいてしっかりとホラー要素も入っており、

田舎の山間で起きる特有の不気味さと、仏像の工房で起きる仏像を中心とした神秘的

ホラーなどが合わさって、怖さと面白さがしっかりと同居しておりました!

 

決して結末自体は救いがあるわけでもなく、復讐が形を変えて復讐を呼び、麻耶が

殺人に及ぶまでは良かったのですが、唐間木も行った復讐で麻耶の復讐の呼水となって

いた部分が何とも言えない後味になっており、動機面でもミステリとして、そして物語

として良かったですね。

 

仏像関連のトリックは少しバカミスっぽさもあり、あまりリアリティがあるといった

状況ではなかったのですが、後半の怒涛の伏線回収と、全てが繋がり冴えわたった推理

を行う真備が探偵ポジションとしては格好良く、探偵ものの推理小説として楽しむこと

ができました。

 

道尾秀介といえば他の作品をオススメする人も多く、中々真備シリーズをオススメする

人がいませんが、個人的にはこのシリーズが好きですし、ホラーとミステリを軸に

本格ものらしいミステリを道尾秀介の文体と表現で味わえるので是非オススメしたい

ですね。真備シリーズの新作出てくれ、頼む。

気になった方は本作も是非読んでみてください〜。

また前作の感想も書いておりますので合わせて見ていただけると幸いです!

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