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【感想】澤村伊智『ししりばの家』(角川ホラー文庫)

澤村伊智『ししりばの家』(角川ホラー文庫)の感想になります。

※ネタバレを含みます※

澤村伊智『ししりばの家』(角川ホラー文庫)

取り込まれたが最後、家族を取り返すために「ししりば」の恐怖が襲いかかる

あらすじ

おかしいのはこの家か、わたしか―夫の転勤に伴う東京生活に馴染めずにいた果歩は、幼馴染の平岩と再会する。家に招かれ、彼の妻や祖母と交流し癒される果歩だが、平岩邸はどこか変だった。さああという謎の音、部屋中に散る砂。

しかし平岩は、異常はないと断ずる。一方、平岩邸を監視する1人の男。彼は昔この家に関わったせいで、脳を砂が侵食する感覚に悩まされていた。そんなある日、比嘉琴子という女が彼の元を訪れ…?

ししりばの家 / 澤村 伊智【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア から引用

あの比嘉姉妹の長女、琴子の幼少期の体験や、「ししりば」という土着的な怪異、そしてその怪異がどこにでもありそうなお家から襲いかかってくるという「幽霊屋敷」もので、ざらざらとした恐怖を感じられる物語としても面白いホラーでした。

 

面白いと思ったのは「ししりば」がシステム的におばあさんが亡くなったら、よそからおばあさんを補充するし、奥さんも亡くなってしまったら婚姻関係がなかろうが別の奥さんを家族の一員にするというように家族の欠員をただ補充するかのように無理やり仕立て上げて、その当人の認識を捻じ曲げるところ面白くもあり怖くもありといったところが、シンプルに怪異としての強さを感じましたね。

 

最初は転勤で上京してきた夫婦の妻、果歩が偶然再会した敏明の家に行くところから物語が始まり、家に砂があって、家族の様子がおかしいという異変があり最初は敏明の浮気から始まった怪奇現象かと思いきや....そこが「ししりばの家」であることがもたらした散見する多い砂、死んだはずの祖母がいたりと、そこから徐々に「家族」に対する見え方が狂っていく様子がホラーとしての面白さもあり、良かったですね。

 

後半は打って変わって、比嘉姉妹シリーズの琴子が主軸となり、幼い頃クラスメイトの子供の家族がこの「ししりばの家」に住んでいた頃に遭遇した時の因縁を払拭するため祓いに行くところは洒落怖の終盤のようで、霊能もの的な面白さがありましたね。

あれだけ強力な怪異にも関わらず犬と爆弾が弱点な「ししりば」を偶然も絡みつつ怪異に取り込まれた人々の救出はできましたが、全てがハッピーエンドとはいかず果歩の最後など暗い影を落とす部分と五十嵐が前を向いて生きていくような明るさがあって、シリーズものとしての面白さもしっかりとありましたね。

 

長編小説で比嘉姉妹の長女が活躍する物語として楽しむことができました!シリーズ前作を読んでいると更に楽しむことはできますが、読んでいなくとも洒落怖のようなホラーとして楽しむことができるので、ホラー好きな方にはオススメです!シリーズ前作の感想も書いてますので、合わせて読んでみていただけると嬉しいです!気になった方は本作も是非読んでみてください〜。

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