※ネタバレを含みます※
辻村深月『ツナグ』(新潮文庫)
生きている者と死者をつなぐ、一夜限りの奇跡。
あらすじ
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。
突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
『ツナグ』 辻村深月 | 新潮社 から引用
一度だけ死者との再会を叶える役割を持つ「ツナグ」、様々な仲介があり、それぞれの人間の人生を物語として感じることでき、自分だったらどうなんだろうと考えさせられる感動の物語でした。
一夜限りの奇跡の邂逅で、活力や悔恨など、抱く感情は様々で決して前向きなものだけではないけれども、依頼人や歩美にとっては過去となってしまったものから未来へ向かう繊細で巧みな心理描写がとても良かったです。
推し、母親、親友、婚約者と、ツナグという役割を通して、それぞれの人生に触れることで歩美が祖母から受け継いだ死者との邂逅をもたらすという役割に自分自身での落とし所を見つけていくシーンはとても感動的でしたね。
今をどう生きるか、誰に何を伝えるか、生きている間にこそ何を成していくのかということを考えさせられました。特に親友同士の邂逅には考えさせられるものがあり、推し、婚約者のお話では感動や死後に出会うからこその重みというものを感じて一気に物語に引き込まれました。
「死後の人と一度だけ出会える」という役割を通して、依頼人の成長、そして依頼を受けた歩美の成長など、紆余曲折あれど前向きに進んでいける読後感の気持ちの良い物語でした、辻村深月さんの心に直接訴えかけてくる、登場人物の繊細な心理描写など巧妙さの中に様々な人間性を乗せてくる物語が存分に堪能できました。
辻村深月さんが好きな人には是非オススメしたいです!気になった方は本作も是非読んでみてください〜。
